本格的なおいしさと
手軽さを食卓に届けたい
代表取締役 中鉢宏さん
「材料の質から日持ちの調整まで、
小さな会社だからいくらでもこだわれるんです」
と社長の中鉢宏さん。
統括店長 中鉢令子さん
「毎日の気温やイカの状態によって
完成の時間が変わるため、目配りが重要」
と統括店長の中鉢令子さん。
濃厚な肝の風味が魅力“ホタルイカの姿干”
明治時代に鮮魚店として創業した、酒田市の有限会社木川屋本店。現在は、代表取締役の中鉢宏さんが4代目を継ぎ、主に干物や佃煮、焼き魚といった水産加工品の製造・販売を行っています。
会社の売上げを牽引するヒット商品のひとつに、今から約5年前に誕生した“ホタルイカの姿干”があります。当時、インターネット販売で生のホタルイカを扱っていたという宏さん。
「時々売れ残ってしまうホタルイカを、試しにフライパンで炙ったり、塩辛にして食べてみたら、これがすごくおいしくて。その時にふと、ホタルイカもスルメイカと同じようなものだなと思い、干物を作り出したのがはじまりでした」。
その後、統括店長で奥様の中鉢令子さんや社員の方々と一緒に、幾度もの試作を繰り返した末、歯ごたえや日持ちのよさ、味の要となる濃厚な肝の風味など、すべてにおいて納得のいく姿干が完成しました。
素材本来の味、無添加へのこだわり
姿干に使用されるのは、本場・富山湾のホタルイカ。収穫の最盛期を迎える3月から4月の中でも、毎年4月後半に獲れるホタルイカを使用しています。それは、この時期のホタルイカは肝が大きく、その肝にほどよい塩分が残っているため。味付けを施す必要がなく、自然本来の味をそのまま生かしながら姿干に仕上げることができるのです。
「化学調味料を使えば、どんな味でも作り出せる技術が今の日本にはあると思います。だけど、それは本当の味とは言えませんよね。素材の味そのものを大切にしたいんです」と語る宏さん。
このように無添加にこだわり、厳選した鮮魚の深い味わいを凝縮した加工品の数々は、多くのファンを獲得しています。「ホタルイカの姿干のパッケージに載せている、パスタや炊き込みご飯へのアレンジは、お客様が教えてくれたアイディアなんですよ」という令子さんのお話からも、その人気の高さが伺えます。
ホタルイカ同士がくっつかないよう、一枚一枚手作業でていねいに並べていきます。
乾き具合を細めにチェックし、場所の入れ替えなども行いながら翌朝まで乾燥させます。
本格的なおいしさと手軽さを提供
木川屋本店には、常に新商品の開発を裏で支えている頼もしいモニターが存在します。それは宏さんと令子さんのお子さんたち。ホタルイカの姿干も、イカの塩辛は苦手なはずのお子さんたちが好んで食べたことが、商品化の後押しになったといいます。
「子どもの舌を基準にしているのは、一番味に敏感だから。子どもが食べないものは大人にも受け入れられないんですよね」と令子さん。さらに、子どもが抵抗なく食せるような商品をつくることで、より多くの人においしく魚を食べてもらいたいという願いもあります。
近年は、忙しい現代人をサポートする湯煎シリーズや、高齢者の安全にも配慮した火を使わないレンジ対応商品の製造にも力を入れています。そのすべての商品に共通するのは、「おいしく、体によいものを手軽に味わってほしい」という想い。自ら育ち盛りのお子さんを持ち、忙しく会社を切り盛りするお二人ならではの、たくさんの愛情が詰まっています。
肝もまるごと干しているため、口の中に濃厚な味わいが広がります。一度食べたらやみつきになるおいしさ。
化学保存料や化学調味料等を使用せず、体にやさしく、おいしい食品をお届けしています。
<2011年12月19日取材>