伝承の技術と新しい発想で、
心躍るパスタを発明
専務取締役 玉谷貴子さん
低温乾燥にこだわった、上質な麺づくり
山形の霊峰月山の麓に佇む玉谷製麺所。創業は1949(昭和24)年、周囲の小麦農家さんの小麦で干しうどんをつくり始めたのがきっかけです。以来70数年、そば、うどん、麦切り、そうめんなど、さまざまな乾麺や生麺を製造してきました。看板商品の「月山そば」は風味が良く、喉ごしがいいと評判の乾麺。その秘訣は徹底した低温乾燥にあります。「20℃以下でじっくりと時間をかけて乾燥させます」と専務取締役の玉谷貴子さん。乾燥中も麺がくっついたり、絡まったりしないよう、職人が丁寧に確認。手間をいとわない麺づくりが多くのファンを持つ理由です。
湿度や温度を調節しながらじっくり乾燥させ、そばの風味をあますことなく引き出します。
そば、麦切り、うどんなど、さまざまな商品を販売。工場に隣接する直営店には多くの人が足を運びます。
世界でも注目「雪結晶パスタ」の誕生
職人の技術を生かし、そばパスタや黒米パスタなど、和の素材を生かしたパスタも作っていた玉谷製麺所ですが、2013年、東北芸術工科大学との産学連携事業「共創のテーブル」に参画し、新たなパスタに挑戦します。雪の結晶の形にデザインされた、見た目も美しいショートパスタ。最初は茹でても固く、形も歪んでしまいました。原材料の配合や茹で方、金型の押し出し方など、多くの研究と改良を重ね2014年、ついに世界に類をみないパスタが完成します。たちまち話題となり、グッドデザイン賞を受賞するほか、パリの「メゾン・エ・オブジェ」にも出品を果たしました。
「雪結晶パスタ」。36時間の低温乾燥により、もっちりとした食感が生まれます。
イタリア製の金型から押し出されるパスタ。芸工大の先生のアドバイスのもと、玉谷貴子さんがデザインしました。
サクラパスタ、クラゲ夢パスタなど、新商品が続々
一躍話題となった「雪結晶パスタ」。続けて発売した「サクラパスタ」は、桜の花びらを彷彿させる色と形が評判を呼び、海外の晩餐会(イタリアのサンマリノ共和国)でも使われるほど有名になりました。美しいピンク色の正体はイタリア野菜のビーツ。「熱によって分解されない赤い食材を探していた時に、地元の農家さんがスーパーやレストランに持っていけない規格外のビーツを何とかして欲しいと持って来てくれたんです。賜りものだと思いました」と玉谷さん。2020年発売の「クラゲ夢パスタ」には加茂水族館(鶴岡市)で不要になったトラフグの白子が練り込まれています。地元の産物を大切にし「もったいないをなくす」という玉谷さんの信念が、良い商品を次々と誕生させているのかもしれません。
さまざまなショートパスタシリーズ。左はトマト味の「おひさまパスタ」、手前はニンジン味の「月もみじパスタ」。「クラゲ夢パスタ」(中央)は5種類の形。どの商品にも添加物は使用していません。
サクラパスタと雪結晶パスタ。雪結晶パスタには、山形ブランド米「つや姫」の発芽米が入っています
花びらが舞い降りたような、サクラパスタを使った一品「サクラぜんざい」(写真提供:玉谷製麺所)
※おいしい山形プラザでは、「雪結晶パスタ」「さくらパスタ」、および「月山板そば(乾麺)」「月山そば(生そば)」を取り扱っています。それ以外の商品については、玉谷製麺所の
通販サイト
をご覧ください。