ビールのおつまみとして
絶大な人気を誇る夏の味。
黒坂伸悦さん(鶴岡市) 山形県鶴岡市で、毎年約12トンのだだちゃ豆を生産している黒坂さん。
土へのこだわりが味の決め手に。
山形県庄内地方で栽培されている枝豆の品種は約30種類。その中から選抜された美味しいものだけが『だだちゃ豆』の称号を与えられます。出荷されるのは主に『早生甘露・甘露・早生白山・白山・晩生甘露・おうら』の6種類。7月下旬から9月上旬に旬を迎える、ビールのお供にうれしい人気の味覚です。
『あぐりクロサカ』の黒坂伸悦さんは、鶴岡市でだだちゃ豆を栽培する農家のひとり。味を決める上で最も大切となる土にこだわりながら、毎年だだちゃ豆の育成に励んでいます。
「鶴岡は砂質と粘土質という両極端な土壌が混在する地域。うちの畑はサラサラとした砂質土で、酸素が多く、豆が根を伸ばしやすいのが特徴です」。黒坂さんは約5年かけてこの土を分析。徹底して生育環境を整えたことが、山形セレクションやエコファーマーの認定につながりました。
「今と昔とでは天候も変わってきています。昔と同じ栽培方法では通用しないこともしばしば。どうしたらおいしいだだちゃ豆を作り続けられるかを常に研究しながら、栽培に取り組んでいます」。
黒坂さんの畑の土は「砂質土」。名前の通り、砂のようにサラサラしているのが特徴。
人気の理由は「甘味」と「旨味」。
だだちゃ豆といえば、茶色いさやの毛と真ん中にできる大きなくびれ、そして口にした瞬間誰もが実感する甘味と旨味が特徴。知名度としては『白山』が圧倒的ですが、黒坂さんは「最も晩生にあたる『おうら』も味が濃くておいしい」と太鼓判を押します。
また、東京などの首都圏では枝と根が付いたままのだだちゃ豆も人気が高く、その見た目も然ることながら、豆の品質が保ちやすいという点でも喜ばれているとのこと。
収穫期の間は、夜が明ける前の早朝3時から収穫を行っている黒坂さん。また同じ品種でも、定植時期を分けることで収穫時期をずらし、旬を逃さないようにするなど、生産者の努力と愛情によって育まれている山形のだだちゃ豆。「これからもおいしいだだちゃ豆を届けられるよう、質へのこだわりを大切に栽培を続けていきたいですね」。
だだちゃ豆には旨味成分のもととなる「アミノ酸」が豊富に含まれています。
収穫しただだちゃ豆を丁寧に選別。このひと手間が安定した品質へとつながっています。
生産者たちが「木」と呼ぶ、だだちゃ豆の枝。この枝付きの状態での購入を希望する人も多いのだそう。